僕とゴスペル

前回のEric Galesに関するブログの最後に出ましたが、
今回は『ゴスペル』について書きたいと思います。
 
ゴスペルと聞いてみなさんはどのような音楽や形態と思い浮かべるでしょうか?
一般的にはゴスペルと聞いて、映画「天使にラブソングを」 を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか?
 
教会で大勢の人がコーラスを歌いハーモニーを奏でる。
人によってはアカペラで大勢で歌うことをゴスペルと認識されている方もいると思います。
 
実際は、それらのことに加えて、歌詞が神様を賛美する内容かどうかでゴスペルと呼ぶか
そうでないかが決まるのではないかと認識しています。
 
ゴスペルミュージックと言っても、ジャンルは本当に曲によって多岐にわたり、
白人教会で歌われる曲の多くはロック調なものが多く、コード進行も比較的シンプルなことが多いです。
対して、黒人教会で多く演奏される曲はかなりハーモニー的にも複雑でキメも複雑なものがたくさん出てきたりします。
また、昔からのトラディッショナルなものと最近のコンテンポラリーなものでは
だいぶ毛色も変わってきます。
 
こうして曲調は本当に様々なものが存在しますが、その全てが神様への賛美
これがゴスペルだと認識しております。
 
 たまに「ゴスペルをやっているんだ!」「ゴスペルグループです!!」
と謳っておきながら、歌詞聞くと全く賛美していないなんてこともあったりするので、
それって、ゴスペルって言うの??なんて思った経験もなんどもありました。
 
僕はコロナが本格的に流行る2020年まで約7年間、
米軍基地の黒人教会で契約ギタリストとしてゴスペルを毎週2日演奏しました。
 
僕の初めてのゴスペルとの出会いは、お世話になっている大先輩のギタリストの方が
他の仕事で出演できないとのことで、トラ(代役)で入ったことがきっかけでした。
 
そして、僕がたまたまトラで入った数日間がちょうどサンフランシスコで活躍されている本場の方がワークショップでゴスペルを教えにくる。そんな日だったのです。
音資料や譜面なども事前になく、場所だけ伝えられギターと機材を持っていくのでした。
 
 
米軍基地は、パスがないと入れないため、パスポートを持って行ってセキュリティをクリア。
そんな普段とは違う体験をしながら教会に着きました。
入ると黒人の軍人の方が一人。
その彼はどうやらオルガンを弾くとのこと。
挨拶を済ませ待っていると、次第にたくさんの方が入ってきました。
アメリカの方々はもちろんのこと、日本人の方も。
 
そんな中、サンフランシスコから来日された方も到着。
基本的にはその方がピアノを弾き、バンドに指示を出しながら、
歌のハーモニーも的確に指示を出していきます。
ピアノも歌もめちゃくちゃにうまい。グルーヴしてる。。
 
演奏はいきなり、その彼が弾きだします。
それに、ベース、ドラム、ギターがとにかくついていくスタイル。
曲名も知らないし、何もかも知らない初めての曲なのに、
とにかくその彼が弾く演奏についていくしかありません。
 
しかもゴスペル音楽は基本的にDirector(指揮者みたいな人)がいて、
その人がAメロを何回も繰り返すとか、次(Bメロ)に進む、みたいな合図を出すんです。
その時のDirectorはそのピアノの彼だったんですが、曲もわからないのに合図も見落としちゃいけないし、ゴスペルってなんて大変なんだ!!
と初日から衝撃のゴスペル体験を受けました。
 
そのワークショップはその日から連続で3日間あって、
リハ中は必死についていきながら、帰って録音したリハ音源を聞いて譜面に起こす。
また次の日も同じことをの3日間でした。
4日目に教会の朝の礼拝で本番。
その日は特別な日だったようで、全員でスーツを着ての演奏。
 
それが僕のゴスペル音楽との出会いでした。
 
終わった後は、サンフランシスコからきたその彼が
「君たち、自分がサンフランシスコでやってる教会のバンドより良いよ!アメリカ来なよ!!」なんてリップサービス?も頂いたり笑
でも、素直に嬉しかったです。
 
今でこそ、あの時やった曲はあれだなー。とか曲名が一致しますが、
ゴスペル初体験の自分には本当に大変でした。
 
長い音楽人生でも、あの時の数日間は強烈に自分の中で覚えています。
そして、最高の音楽体験でした。
まさに生きたアメリカ音楽でした。
 
それ以降、色々あってご縁をいただき、7年間教会でゴスペル演奏をしてきました。
毎週、送られてきた音源を耳でコピーし、それを譜面にして弾けるようにして
リハーサルにのぞみ、そして本番を迎える生活。
その7年間でノートにして、8冊分にもなりました。
 
曲にしたら何曲やったか見当もつきません笑
うん百曲だと思います。
色々なJ-popなどのアーティストさんのサポートをしていても、どこかでゴスペルが自分の中の軸であったので、本当に生活の一部でしたし、とても楽しかったです。
 
このコロナ禍で、教会で演奏するのは難しくなってしまいましたが、
いつの日かまた再びゴスペルを演奏する日常が来ればいいなあ。
そんなことを思っています。
 

 7年間通った、相模原米軍居住地


 
 
 
 
 耳で拾い書いた譜面はノート8冊分にもなりました。
 
 

  

 

Kentaro Kaneko
www.kentarokaneko.com
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